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すげーくだらない小話。
↓
日差しが弱まり、秋が深まるのを日に日に肌で感じる頃。
私の用意する、エドワードへの餌付けの種類も変化していた。
夏の暑い全盛期はシャーベットやソルベ、残暑のころにはアイスクリームやジェラート、そして今の季節、やっとケーキのお出ましである。
値段やボリュームから言っても、エドワードがケーキを喜んで食べることは知っている。
だが、暑い時期は何よりも身体を冷やすことを優先したいらしく冷たい食べ物を優先して用意していた。
夏に入る前に立ち寄ったのが最後のケーキ屋に数ヶ月ぶりに入り、ショーケースの中から適当なケーキを二つ選ぶ。
最初に目についた、リンゴのムースの周りをカラメルでコーティングしたケーキと、ミルフィーユを選んだが、買った後に両方ともエドワードには綺麗に食べることが難しいものだと気付きはっとした。
まあ、久々のケーキの食べにくさに悪戦苦闘し、結果開き直るエドワードもそれはそれで、なんて想像してゆるむ口元を手で隠しつつ司令部へと戻った。
司令部に戻ると、ちょうどいいタイミングでエドワードが来ていた。
執務室のソファに、足を広げ腕を組み、まるで重役のように居座っている。
久しぶりのケーキだよ、と目の前に白いケーキ箱を置いてやる。
「…いらん」
おお!ケーキ!久々だなあ!でかした大佐!!
というリアリティのある返答を期待していた私には、少々突き刺さる言葉が返ってきた。
しかし、これくらいは想像の範囲内である。
今まで何度、彼の気分によって不条理に八つ当たりをされてきたかを考えればこれくらい可愛いものだ。
「後で食べるか?」
「いらん」
「まだケーキよりアイスがよかったか?」
「両方いらん」
「腹でも壊してるのか?」
「オレがそんなヤワなわけねえだろ!!」
噛み付くようなことを言いながら、物言いたげにチラチラと私の方を見てくる。
機嫌が悪くて八つ当たりをしているようではなさそうだし、ただ単純に腹が減っていないというわけでもなさそうだ。
どうしたものかとケーキとエドワードを交互に眺めていると、上目で私の身体を凝視しながらエドワードがぼそりと呟く。
「だって、甘いもの食べ過ぎると、大佐みたいにメタボになるって…」
え?と思い、エドワードを見ると思い切り視線を逸らされた。
「オレも食べないから!大佐も食べないようにしような!一緒に頑張ろう!!」
「ちょ、ちょっと待ちなさい!誰が私をメタボだって…」
「皆、皆、言ってたよ!今日もうきうきとケーキを買いに行ったって!オレがいないストレスを甘いものにぶつけてるって!!」
普段、私から見ても子供にしては大変男らしいエドワードが、思いつめたように目を固くつむり、興奮のあまり顔を蒸気させて、小さく震えている。
私がいない間に着いたエドワードを、部下連中でよってかかってからかったのだろうが、どうしてこんなにも深刻に受け止めてしまったのだろうか、この子は。
「鋼の」
「なんだよ」
「私がメタボじゃないことは君が一番よくわかっているだろう?」
「……ちゃんと意識して見たことねえよ、大佐の身体なんて……」
その後、誤解を解くために執務室の中で軍服を捲りあげ腹筋を披露した上で、腹筋の強度をチェックするということで腹にグーでパンチを食らった。
彼の想像の中で、私の身体はどれだけだらしないことになっていたのかと思うと、それだけで頭の奥が鈍く痛んだ。
腹を殴られ、精神的にも落ち込んだ私の代わりにエドワードはケーキを二つ食べて帰っていった。
end.
end.じゃねーよ。何だこれ。
涼しくなってきて、夏はあんまり欲しくなかったケーキが美味しい季節になりましたね。
大佐はエドワードくんの身体を舐め回すように見ているけど、エドワードくんはそんな余裕ねえよ!ってことで
大佐の身体のこと、まだあんまりよく知らなかったら可愛いです。あ、そういうことになってまだ2ヶ月くらいの設定でね!
何言ってんだ私。
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